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「生誕祭」馳星周

上下巻で構成される馳星周の長編小説です。2003年の作品。この作者の作品にしてはめずらしい事に誰も死にません(笑)

時代は80年代バブル真っ最中。
若くて野心家の社長の下で働く20歳過ぎの元ディスコ黒服青年が主人公。
「土地を見つけてこい」という社長の号令のもと、嘘を並べて口八丁手八丁。
億単位のお金をその若さで動かしていることに快感を覚える。
幼なじみの麻美は女子大生。ある大物不動産屋の愛人。
この3人が共謀して、大物不動産屋をハメようとするが
少しの手違いの連続で主人公は破滅の道を辿ることに・・・・
というのが大筋。

携帯電話もEメールもない時代、「宮殿」がコンセプトのディスコ(マハラジャw)
そしていつもの馳ワールドの主人公と違い、
出生に秘密があるとか、すんげえひねくれてるとかじゃなくて
弱々しい普通の若者、ってのがちょっと新鮮でした。

エピローグで主人公は北に逃亡し
(なんで人って逃げるときって北なんだろうねw)
旅館の住み込みで月10万円で働く穏やかな生活をしている。
休みには教会に行って懺悔の日々。
そこに、不動産屋の若社長が客として宿泊しにきた。

「もう一度事業をやるぞ。次はマルチ商法だ。お前も来い。」
うーん、あの時代だ(笑)
そして、このバイタリティ。これぞ馳ワールドに生きる人物。

この「生誕祭」は読み終わった後、爽やかな気持ちになりました。
他の小説の時は暗い気持ちがドーンと来るんですがw

人の駆け引きの描写、スピード感はやはり馳作品です。
個人的には☆5つ。


Published in小説

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