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13th「レット・イット・ビー」The Beatles

いよいよオリジナルラストアルバム。
同名映画のサントラ盤として発売された本作。
前回のエントリー「アビイ・ロード」で書いたとおり、このアルバムはアビイ・ロードセッション以前に録音されたマテリアルが主です。

実はジョージ作の「I me Mine」だけが映画と整合性を持たすために(映画ではリハーサルしてたもののちゃんと録音してなかった)ジョン抜きで新録音されております。

後はリンゴだけ呼ばれて、数曲ドラムをオーバーダブしています。

正直、このアルバムは「残された録音物」を使って
フィル・スペクターが造り上げたものである、と考えて良いでしょう。
全体を覆う、暗い雰囲気は映画を見ると倍増します。
出来る事なら、見ない方が良いかなと。

「ビートルズ・レコーディング・セッション」によると
フィルは自分の力をスタジオで誇示しようと、あれやこれやと
エンジニア達に文句を言いまくったみたいで
それを見たリンゴがたまりかねて隅に連れてってヤキを入れたたしなめたとか。

もともとは「ゲット・バック」という企画で始まったこの一連のセッション。
「原点に返って、ダビングなしで作る」という決め事で始まりました。
音の薄さをカバーするためにキーボードのビリー・プレストンが入り、
(彼が来たことによって4人はだいぶ和らいだ雰囲気になったとか)
とりとめないダラダラした何十時間という膨大な録音物が残り
彼らはそれを放棄してしまったわけです。

とりあえずジョージ・マーティンはこの中から
「Get Back」と「Let it be」の2曲をシングルとして編集・発売。
アルバム「ゲット・バック」もサンプル盤まで出来たんだけども
発売直前で中止になってしまいました。

これがそのジャケット画像。
Thirty-Days-17-front
1stアルバムの「Please Please me」と同じ場所、同じ構図。
いかに彼らが「あの頃」に戻りたかったかがわかる気がします。

もちろん、このサンプル盤と画像を使って海賊盤が出回りました。
当然ですが所持しています(笑)

さて、このアルバム「レット・イット・ビー」ですが
全体として散漫な印象を受けるのは致し方ないかなと。
これを聴いた当時も「暗いなあ」と思ってあまり聴かなかった思い出があります。
B面の「I’ve Got a Feeling」と「One after 909」は元気があって好きでした。

「Maggie Mae」とか「Dig it」とかはリハの間の遊び、みたいなもんですし
「Across the Universe」の大げさすぎる女声コーラスとストリングスも
明らかに今までのビートルズサウンドとは違います。
プロデューサーが違うんだから仕方ないんですが、これはちょっとなあ。。

特に「The Long and Winding Road」に
異様なほどの愛着を見せたポールにとって
このストリングスコテコテアレンジはガマンならなかったそうで
「なに勝手な事してんだゴルアアアア!」と激怒したとか。
で、ご自身のソロアルバム発表に合わせて、脱退宣言を発表。
この行為に、今度はジョンが激怒。

ここでビートルズは解散してしまうのでした。
そして、ここから数年はお互いのソロアルバム中の楽曲で
罵倒したり罵倒仕返したりと、見ててアチャーな状態が続きます。

ポールは数十年たっても、フィルのした事を忘れておらず
最近なにかの賞をフィルが受賞した時に、たまたま会場にポールがいて
「なにかコメントを」と求められたときに
ストリングスと女声コーラスをダビングされる前に家に帰るよ」と
言ったとか。まあ、これは彼流のジョークでしょうけどね。

そして時は流れて2003年。
この時のマスターテープがフィルの家から発見されたとかで
(フィルは女優殺害して刑務所に入ったそうです・・・・)
それをデジタルリマスターして「レット・イット・ビー…ネイキッド」として発売。

これが出たときのキャッチコピーは
「これがビートルズが望んだ本当のサウンド!」みたいな感じだけど
おいおい、それはちょっと違うやろと思います。
このアルバムに関してはまた別エントリーで。

「レット・イット・ビー」のWikipediaはこちら。
ザ・ビートルズ楽曲データベースはこちら


Published inThe Beatles音楽

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