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「トーキョー・バビロン」 馳星周

フロント企業の幹部のチンピラが同級生の落ちぶれたベンチャー社長と組んで、金融会社の中間管理職のオジさんを狙う。

もう若くないホステスもこの中に加わって、誰が誰につくのかスピーディに物語は進行する。

男×2、女×1。
馳氏のお得意のこの人物構成。
「聖誕祭」とよく似たお話です。

もちろん、この女の人はワルですw

読んでる時から「誰一人幸せにならねーんだろうなーー」と
思いながらもついつい読んでしまう表現力が馳氏の魅力ですね。

今回のお話はこのワル女性の気持ちがよくわかります。
「若さ」っていうのはその時にはなにも感じないけども
年齢を重ねて行くと、先への不安と共に「あの頃は」という気持ちが同時に来るんですよね。

そして、オジさん側に寝返ってしまうのだけども
何の魅力もないくたびれたオジさんに惚れるってのは
「恋愛」というより「同情」に近いものがあると思うんですね。

しかし、この女性はホステス。
疑似恋愛でお金を稼ぐプロなのです。

そして最後の最後で、何が自分にとって正義なのかを
自ら選択して物語を終わらせます。

馳氏が書く女性の中では
最もリアルに感情を読み取ることが出来ました。

そして今回の男達は、とってもかっこ悪いです。
「聖誕祭」がおもしろかった人にはオススメ。
「不夜城」シリーズの様な、あの世界観が好きな人には物足りないかな。


Published in小説

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