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「回帰線」尾崎豊

1985年3月に発売された尾崎豊の2ndアルバムがこの「回帰線」。先行シングルの「卒業」のヒットによって俄然注目度が上がってきた時期だったと思う。

あのプールで溺れてるところを延々映してるPVが印象に残ってる。
この人のPVってけっこう当時としてはシュールというか
ちょっと意味ありげな作り方をしてるのがありましたね。
「Freeze Moon」とかのPVは延々ペンキぶつけられるヤツだっけ。
あれも今考えると「オレは染められないぜ。あがき続けるんだ」って事なのかな。

この頃は「日本のロック」という物の黎明期が来てる感じで
特にこの尾崎豊の場合は、今で言うメディアミックスの走りだったのかもね。
「PATIPATI」とかの雑誌でいっつも巻頭飾ってたし
写真もすべてモノクロみたいなアーティスティック感バリバリで
「歌手」といえば地道に有線回って頭下げて、テレビに出て、そして紅白!
みたいな王道の全て逆をついた見せ方をしてた気がする。

だって、ホントに情報がなかったもの。ネットもなかったし。
まずテレビで喋ってる所は見なかったし、PV見ても溺れてるだけだしw

そして歌詞の内容とかもあって逆に神格化されていく様になる。
「10代の教祖」的な言い方もされて、学校も過敏に反応したりとか。

まあ、大人ってのはいつも若者のやる事には理解できんもんかもね。
実際、自分も今の「YO!YO!ディスってんのかてめー」とかの世界は
全く理解ができんのだけど、それを崇拝してる子もいるって事だから。

この2ndアルバムもよく聴いたけど、やっぱり高校ぐらいにならんと
心に響く事はなかったなあ。
一曲目で「自由になりたくないかーい!」と歌ってるんだけど
正直「?」って違和感があったのを覚えてる。
だって、選択の自由なんて誰にだってあるわけで
強制労働させられてるわけでもないし、嫌ならやめりゃいいじゃんと
思ってたから。ここは「日本」だぜ?って。

この曲が好きなヤツって「何甘えてんの?」って思う事が多かった。
親に食わせてもらってて、何が自由だよって。
自分はこの曲よりもThe Street Slidersの「マンネリブギ」の
「鎖につながれあがいてるけど鎖がなければ不安なんだろ」
って歌詞の方が、頭にガツンと来た。中2当時w

もうね。夜校舎のガラス割ってさ。
「尾崎が歌ってたからやりました」って答えたヤカラなんて
唾棄に値する存在だと思うわ。
てめー、そこで人の責任かよって。
自分ってもんが何もないじゃねえかそんなもん。
あのニュース聞いたときは本当に呆れかえった思い出がある。
そんなわけで「卒業」ってあんまり好きじゃないんだわね。
菊池桃子の「卒業」の方が個人的にはランク上です。

このアルバムは高校卒業→就職に流れつつある時に
2曲目の「Bow!」を聴いて「トガり続けるぞー」と思ったことと
家を出てひとり暮らしをする時に聴いた
「坂の下に見えたあの街に」が一番心に残ってます。
結局、原体験があってこそシンクロするって事なのかな。

サウンド面で言うと
佐野元春のバンド、The Heartlandのキーボード西本明氏と
浜田省吾のバンドギタリスト、町支寛二氏が
ガッチリサポートしていて、
当時の「日本のロック」の形をキレイに継承していますね。
EPIC SONYグループのなせる技と言いましょうか(笑)

尾崎豊のいわゆる「10代三部作」では一番聴かないアルバムかな。


Published inCD:80年代音楽

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