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「続・あさま山荘1972」坂口弘

あさま山荘1972(上)」、そして「あさま山荘1972(下)」に続く巻として
原稿が事故により紛失してしまい、再度書き直されてから出版されたのがこの「続・あさま山荘1972」です。

延々とそして淡々と描かれる「総括」の場面があまりにもショッキング。
事実とは言え、当事者から客観的に見て思い返したらこんな文章になるのか、と思わず手が震えました。

最初は同じ目的で集まった仲間を手にかけて殺す、という状況はどう考えても理解できない。

もしかしたら自分のすぐ隣にもこういう状況はあるのかもしれないが、この文章を読んでしまった以上、とてもじゃないがそこで自分自身を保てる勇気が出てきそうにありません。

そして前回で書かれたあさま山荘事件の終結後の逮捕後の状況がこの巻では描かれます。

彼が最初に憧れていた活動家、河島豪氏の手のひらの返しっぷりがあまりにひどく、そしてリーダーの森恒夫とのやりとりが、ほとんど意味のわからないやりとりなのがこの時代に生きる自分自身の限界を感じます。

そして森恒夫は獄中で自殺し、著者の坂口氏はクアラルンプール事件での人質交換に応じずに獄中に残った。
一緒にあさま山荘に立てこもっていた坂東國男はこれに応じて国外に逃げた。
「もう自分は武力闘争は終わったと思う。責任を果たす者がいなくなるので」
と生き延びるチャンスをあえて掴まなかった坂口氏は
今何を考えているのだろうか。
未だ執行されずに収監されている坂口氏には、
ぜひまたなにか出版してほしいですね。

この事件をきっかけに学生運動と言われる物は終わったらしい。
僕にとっては、触れる事のなかった時代を
ほんの少しは理解できた気がする3冊でした。

70年代の風をすこしでも感じたい人には
ぜひとも読んで欲しい3冊です。


Published inノンフィクション

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