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ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~

個人的にはジェームス・ブラウンの音楽はThe Whoやストーンズなどから遡って知ったのですが、あの身のこなし、そしてあの手振りだけで進んでいく見事なステージ構成には心を奪われました。

あれを見て血が騒がない、という人がいるんだろうかと思うぐらいの格好良さ。
そんなJBもカップヌードルのCMに出たりしてて、ちょっと複雑な気持ちになったりもしましたが生み出した音楽、そして後進の人達に与えた影響はものすごい物があると思います。

そしてこの伝記映画。
ミック・ジャガーがプロデュースというのも話題を呼んでまして、
どんなもんかいね、という気持ちで見ましたが
主演のチャドウィック・ボーズマンのJBのなりきりっぷりが
もうハイレベルすぎてびっくりしました。
しゃべり方、しぐさ、そしてダンスに至るまでの再現度は見てて怖いぐらい。

スクリーンの中のJBが観客(映画を見てる側)に対して語りかけてくる、
という演出は「ジャージー・ボーイズ」でも使われてましたが、
あれはなかなかいいですね。

あと、ふと思ったのはこの映画の原題が「Get on up」という事でした。
このフレーズは1970年の御大のヒット曲「セックス・マシーン」で
JBが「Get up!」と叫んだ後にレスポンスとしてボビー・バードが返しているフレーズなのです。

この映画を見てて思ったのは実は主役はJBではなくて、
相方と言っても過言ではないボビー・バードなのではないかと。

ボビー・バードが無名時代のJBと出会ったのはなんと刑務所内。
JBが出所する際には身元引受人になったり、
バンドが解散した時もJBの側に残って
この「セックス・マシーン」をレコーディングしたりなどのエピソードは
映画の中にも盛り込まれています。

確執の後、バンドを離れたボビーの家にJBはチケットを持って訪れまして
「もしよかったら嫁さん(この人も元々はJBのバンドにいた)と見に来なよ」と
告げるシーンがあるんですが、ボビーは一旦「行けない」と言うんですね。

そして公演が始まって、客席にボビーと嫁さんの二人を見つけたJBは
演目を急に変更して、あの名バラード「トライ・ミー」を歌い出します。

オレを試してくれないか、オレと歩いてくれないかというメッセージを
JBはボビーに対してステージから送ったのですよ。
そのメッセージを受けて、ずっと一緒にやってきたボビーと奥さんは
ボロボロ泣き出すわけです。
・・・・・・・こういうシーンに本当に弱くなったのは
自分も年をとったせいなのかな。

若い時は自分こそが正しいと思って、引く事が出来ない時があります。
損得抜きの献身的な理解者が側にいてくれたのにも関わらず、です。
自分もそうでしたが、年月を重ねるとそんな自分が恥ずかしくて、懐かしくて
そしてそれで振り回した人達に対して懺悔したくなる時が訪れるんですな。

ラストシーンで歌われるこの「トライ・ミー」はJBもそういう気持ちだったんじゃないかなって、思ってしまうんですよねえ。

この映画の邦題は「ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~」。
確かに日本ではミソッパの人という知名度しかないかもしれないJB、
ましてやボビー・バードって誰ですか?って事になるので、こういう邦題になるのは
興行上の問題もあって、それはそれで仕方ないのだけれど
やっぱりこの映画はJBよりも相方のボビー・バードに最大のリスペクトがあってこその
原題「ゲット・オン・アップ」なんじゃないのかなと思うのです。

とてもいい映画でした。
伝記映画という事ですが、60年代当時のアメリカ社会の根底にあった人種差別の問題に対する描写をジェームス自身の反骨精神を描く事によって非常にスマートに見せてくれます。
JBを完全に再現したチャドウィック・ボーズマンにも大拍手を送りたいです。


Published in映画洋画

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